先日、約二週間に及ぶリオデジャネイロ五輪が閉会式を迎え、幕を閉じました。数多くの感動をもたらしたリオデジャネイロ五輪は、五輪の歴史の中で最もデジタルコンテンツが活用された大会であり、特にデジタルネイティブであるミレニアル世代に向けた取り組みが目立ちました。ブランド企業、メディア、国際オリンピック委員会(IOC)の三つの側面から、それぞれのミレニアル世代に向けた取り組みをご紹介します。

ブランド企業

ロンドン五輪とFIFAワールドカップを経験したコカ・コーラのPRディレクター、ケイト・ハートマンさんは、ミレニアル世代は「観戦者」という立場ではなく「参加者」となることを望んでいることを学んだそうです。これを踏まえ、今回のリオデジャネイロ五輪では、ミレニアル世代に人気の高いソーシャル・インフルエンサーを起用して、ソーシャルプラットフォームやリアルタイムの動画ストリーミングなどを通じて、世界中のミレニアル世代のファンが「参加者」となれる機会を提供しました。

また、サムスンは、リオデジャネイロ五輪期間中の8月12日が国連によって制定された「国際青少年デー」であることを踏まえ、リオデジャネイロのファべーラ(スラム街)に住む30人の子供たちを五輪に招待しました。女子ハンドボールの試合観戦などを通じて、子供たちに忘れられない思い出を提供しました。こうした活動を通じて、青少年が抱える社会問題に対する啓発活動を支援しました。

メディア

ミレニアル世代は、テレビよりもスマートフォンを使って自分の都合がよい時に情報を得ていることを考慮し、五輪競技の米国での独占放映権をもつ放送局NBCは、若者に人気のアプリ「Snapchat(スナップチャット」を活用しました。ソーシャルコンテンツを得意とするBuzzFeed(バズフィード)に依頼してリオデジャネイロ五輪に関する若年層向けのコンテンツを作成し、スナップチャットを使ってコンテンツをシェアしました。

IOC

国際オリンピック委員会(IOC)では、2010年から14歳~18歳を対象とするユース五輪を開催しています。2018年にブエノスアイレスで開催される夏季ユース五輪に向けて、BMXフリースタイルやビーチハンドボールなどミレニアル世代に人気のスポーツ競技を取り入れたり、ブエノスアイレスの260万人の若者世代にリーチできるようにソーシャルメディアの整備に力を入れています。

2020年の東京五輪もミレニアル世代に向けた取り組みが注目されます。IOCは、より多くのミレニアル世代の関心を惹くため、新たに野球・ソフトボール、空手、スポーツクライミング、サーフィン、スケートボードの5競技を追加することを承認しました。東京五輪は、これまで以上に若年層を巻き込んでいくため、ミレニアル世代が使う人気のツールや行動様式などを考慮したきめ細やかな取り組みが求められます。