本調査結果によると、日本の消費者の43%が、社会的・政治的な問題に対するブランドの姿勢の如何によって、そのブランドの製品やサービスを購入するか、ボイコットするかを決めていることが明らかになりました(グローバル平均:57%)。年々低下傾向にある企業に対する信頼度を反映してか、このような購買をすることが「3年前よりも増えた」と回答した人は17%でした(グローバル平均:30%)。この結果は、これまで以上に消費者はこだわりを持って商品を購入しており、ブランドの社会的・政治的な問題に対するスタンスが問われる時代になっていることを示しています。

このように、世の中で物議をかもしている話題に対する姿勢を理由に、ブランドを選んだり、変えたり、避けたり、ボイコットしたりする「ビリーフ・ドリブン」な購買者(信念にこだわる購買者)は、世界の消費者の半数に上ることが分かっています。また、これは日本にも押し寄せている傾向であり、日本の消費者の39%が、ブランドの信念(立場や姿勢)に基づいて購買を決定する「ビリーフ・ドリブン」な購買者であることが明らかになりました。

10人中およそ4人が「ビリーフ・ドリブン」な購買者

「ビリーフ・ドリブン」な購買者がブランドに何を求めているか、それは、自らの見解や主張を示すことです。今やブランドには静観するという選択肢はありません。なぜなら、日本の「ビリーフ・ドリブン」な購買者の実に53%が、「ブランドが対処すべき社会問題や政治問題に関して沈黙を貫いていたことだけを理由に、そのブランドを購入するのを止めた」と回答しているからです。これは、グローバル平均においては、65%に上ります。反対に、自らのスタンスを明確に示すことで得られる利点は大いにあります。日本の「ビリーフ・ドリブン」な購買者の49%が、「意見の分かれる社会問題や政治問題への姿勢に共感した」という理由だけで、それまで利用したことのないブランドを購入し、また、35%がロイヤルユーザーとなり、29%が困難の折にも味方になってくれ、5人に1人が25%のプレミアムを支払ってくれることが分かっています。

エデルマンが昨年新たに開発した、ブランドと消費者との関係性の強さと質を分析する業界初の指標「エデルマン・ブランド・リレーションシップ・インデックス」において、2017年の日本の結果は、昨年同様32でした。この指標は18のカテゴリーにおけるお気に入りのブランドとの関係性の強さを、7つの要素において測定し、そのパフォーマンスを0から100で得点化したものですが、傍観者といわれる、ブランドと信念や価値観で繋がっていない消費者のスコアは28に止まるのに対して、「ビリーフ・ドリブン」な購買者のスコアは39と、ブランドとのより深い関係性を構築していることが伺えます。

ビリーフに応えること それは、ヒトとのリレーションを深める秘訣

「ビリーフ・ドリブン」な購買者は、ブランドにただ単に声を挙げるだけでなく、自らの行動で示すことを望んでおり、さらにはその行動を、同じ信念にこだわる購買者たちと共に起こすことを求めています。エデルマン・ジャパンのストラテジー・ディレクターの宮崎陽介は次のように述べています。「日本には、子供のいじめや虐待、過労死や孤独死、ジェンダーや差別の問題から介護負担に至るまで、実に多くの社会問題が溢れています。インバウンド消費が加速するということは、いつまでも国内だけの理論では済まなくなってきている訳ですが、日本人でも既に10人中4人が『ビリーフ・ドリブン』な購買者であるということは、自分の予想を上回る衝撃的な結果でした。このような社会問題について同じ目線で語り合い、一緒になって声を挙げ、行動を起こすことをブランドに求めている人がこれほど多いという事実に対して何も対処せず、今までやり慣れたのと同じことを続けていると、近い将来、消費者は離れて行くでしょう。もしかしたら、数カ月以内というレベルでは起こらないかも知れませんが、起きたときはもう止めようのないくらい急激に起こることが予想されます。もちろんまだ先は長いですが、LGBTなどは急激な変化を実感できる代表的な例ではないでしょうか。日本の企業やブランドが、この新しいダイナミクスにイチ早く適応するのか、誰かが前例を作ってくれるのを待つのか。そこが問題ですね。是非、外資の動きに取り残されないようにして頂きたいです。」

日本における世代別 最も気になる社会問題

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