二極化が深刻化する世界において、企業の役割が一層重要に

日本で最も信頼されていない組織は「政府」

社会的分断、そして深刻化する二極化解消のために、企業に対する期待に一層の高まり

エデルマン・ジャパン株式会社(東京都港区、代表取締役:メイゲン・バーストウ)は本日、世界28カ国、約32,000人を対象に実施した信頼度調査「2023 エデルマン・トラストバロメーター」の日本の調査結果を発表しました。調査は、2022年11月1日から11月28日にかけて実施されました。世界的な経済不安の中、所得による信頼の格差が広がり、社会的分断が進行して、世界的に二極化が深刻化している現状が明らかとなりました。

◆日本で最も信頼されていないのは政府と政府のリーダー

本調査結果によると、日本人の組織や機関に対する信頼度では、政府に対する信頼度は33%と前年度比で3%低下しており、企業(47%)、NGO/NPO(38%)、メディア(34%)と比較すると、政府が最も信頼されていないことが明らかになりました。政府に対する信頼度は2011年の東日本大震災後に急落して最下位となりましたが、その後2014年から昨年までの9年間はメディアかNGO/NPOに対する信頼度が最も低い状況が続いていました。政府が信頼度において最下位となったのは、2013年以来、実に10年ぶりの結果となります。

また、「人」に対する信頼度においても、「自分の同僚」(+8ポイント、60%)、「自国の地域社会の住民」(+6ポイント、47%)、「自分の勤務先のCEO」(+4ポイント、46%)といった身近な人々に対する信頼度が上昇しているのに反して、「政府のリーダー」に対する信頼度のみが前年度比で6ポイントも低下し、22%と最も信頼されていないことが明らかになりました。

旧統一教会問題や東京オリンピック・パラリンピックを巡る汚職事件など、不透明な政治に対する国民の不満が信頼度に表れる結果となったことが伺えます。

◆高まる社会的不安と深まる社会的分断

日本では昨年初めて出生数が80万人を下回り、少子高齢化がますます加速しています。そうした現状は、本調査結果においても日本人の将来に対する不安として顕著に表れています。「自分と家族の経済的見通しについて、5年後の状況が良くなっている」と回答した日本人はわずか9%で、前年度比で6ポイント低下し、昨年に引き続き調査対象国の中で最下位でした。

昨年の調査においても上昇傾向にあった日本人の失業に対する不安は、コロナ禍による不確実な経済環境やテクノロジー失業に対する懸念からか、さらに8ポイント上昇し82%となりました。現状の社会課題に対する不安も尽きず、グローバル平均では気候変動に対する不安が最も高い一方で(グローバル平均:76%、日本:77%)、日本ではエネルギー不足に対する不安が80%と最も高く、グローバル平均の66%を大きく上回りました。

人々の社会的不安は社会的分断を生み出します。信頼度指標「トラスト・インデックス」(各国民の政府、企業、メディア、NGO/NPOに対する信頼度の平均値)を所得別で比較すると、上位25%の高所得者(64)と下位25%の低所得者(49)との間には、グローバル平均で15ポイントもの信頼度の格差があり、日本においてはそれを上回る19ポイントものギャップがあることが明らかになりました。

◆二極化する世界において企業に求められるものとは

エデルマンでは、Y軸を自国がどれだけ分断されているか、X軸をその分断がどれだけ定着しているかとして、各調査対象国がどれだけ二極化しているかを調べました。調査対象28カ国のうち米国を含む6カ国において二極化が深刻化しており、日本は二極化が深刻化する危険性のあるレベルに位置していることが明らかになりました。

「私の国はかつてないほどの分断に直面している」と答えた日本人回答者は35%とグローバル平均の53%を大幅に下回ったものの、「かつてこの国を一つにまとめていた社会構造は、団結と共通の目的のための基盤として機能するにはあまりにも弱くなっている」と回答した日本人は56%に上り(グローバル平均:62%)、社会構造の弱体化を懸念する結果となりました。

敵対的な外国政府や裕福な権力者が「社会を分断する勢力」と見なされている一方で、ビジネスリーダーは「社会を統一する勢力」として見なされています。ビジネスリーダーが「社会を分断する勢力」か「統一する勢力」かのどちらだと思うかを尋ねたところ、グローバル平均では「分断」32%/「統一」41%であったのに対し、日本では「分断」22%/「統一」47%と、日本人はグローバル平均以上にビジネスリーダーに期待していることが明らかになりました。

二極化する世界において、企業に対する期待は高まりを見せており、エネルギー不足や、気候変動、経済的不平等や従業員のリスキリングといった様々な社会的課題にこれまで以上に取り組むことが企業に求められています。エデルマン・ジャパンの代表取締役社長、メイゲン・バーストウは次のように述べています。「不安や不信が高まり、二極化が深刻化する世界において、私たちの生活の基盤となる組織や機関は、より豊かな未来のために、絶望の声ではなく、希望の光としての役割を果たさなくてはなりません。そして、その希望を現実のものとするために、協力して行動を起こす必要があります。企業がこれをリードすることで、信頼を獲得することにつながり、その結果継続的なビジネスの成功につながるのです。」